環境衛生学講座で主に使用している実験装置・設備を紹介しています。ラマン顕微鏡、蛍光顕微鏡、次世代DNAシーケンサー、セルソーター、LC-MS/MSなどの高性能な装置が揃っています。研究技術としては、動物実験、免疫染色、シングルセルRNA解析、バイオインフォマティスなどWet実験もDry実験も高いレベルで行うことができます。環境毒性学の研究を行う上で最高の環境が整っています。
研究内容
発がんと感染症の予防に関する研究
発がんと感染症は公衆衛生の最重要課題です。我々の研究室では、発がんに関するバイオマーカーの測定、発がん物質が誘導する突然変異パターンの解析などを通じて、環境汚染の発がんへの寄与を明らかにする研究を行っています。さらに、我々が開発した画期的な抗体スクリーニング法を用いて新興感染症やがんに対する抗体の開発を進めています。この方法は、患者血液の抗体遺伝子配列を調べるだけで病原体に対する抗体が取得できます。今後正体不明の病原体がアウトブレイクした時、速やかに抗体を作成し、治療や診断に利用することでパンデミックを防止します。(特許:https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202303007641928321)
安全性評価の高度化に関する研究
危険な化学物質やバイオ製品から我々の健康を守るため、その安全性評価は重要です。我々の研究室では特に、発がん性スクリーニングのために実施される遺伝毒性試験について、最先端の質量分析やインフォマティクス技術を駆使して、その高度化に取り組んでいます。また、バイオ医薬品の一種である遺伝子治療薬は、今後の使用拡大により環境中へ放出される可能性が高まっています。遺伝子治療薬では治療遺伝子を患者の疾患部位に導入するためにウイルスベクターが用いられますが、これらが環境生物に与える影響は分かっていません。本研究では、培養細胞や分子生物学的手法を用いて、ウイルスベクターの環境生物への影響を評価し、将来のリスク管理に役立つ科学的基盤を構築します。蛍光タンパク質によるウイルス感染の評価
大気環境の予測と影響評価に関する研究
大気汚染物質曝露による健康影響について疫学的評価を行う際に必要な,個人の曝露濃度を高精度で推定する手法の開発を行っています.大気化学輸送モデルやデータサイエンスの技術を利用して開発した数理モデルを,既に実施された疫学調査に適用するとともに,定量的な健康影響が未知の対象物質・地域におけるリスク評価も行っています.また,光化学オキシダント注意報等の発令など大気環境管理において必要な,大気環境情報の時系列予測方法の検討も行っています.ディープラーニング(深層学習)の技術を適用し,数時間先の大気汚染物質濃度を予測する手法の開発を進めるとともに,太陽光発電量に大きく影響を及ぼす日射量の予測などエネルギー問題への適用も図っています.
PM2.5月平均濃度分布
環境汚染物質の免疫影響に関する研究
培養細胞や動物を用いて、環境汚染物質や身の回りの化学物質による健康・環境影響の評価法の開発、影響評価、およびそのメカニズムを解明する研究を進めています。研究対象は環境微粒子(PM2.5や黄砂など)、パーソナルケア製品などで、対象とする健康影響としては、呼吸器系の免疫疾患、アトピー性皮膚炎、遺伝毒性、発がんなどがあります。また、環境汚染物質による健康影響を可視化する診断技術の開発も行っています。